国家資格と整体師

整体の資格の本当のところ

整体学校に宣伝を見ると○○療法の資格が取れるとか、認定証がもらえるとか資格についてアピールしている場合があります。しかし、整体は民間療法であり国のお墨付きがあるわけではないので誰でも簡単に資格を作ることが出来ます。

言葉は悪いですが、こういう民間の資格は言った者勝ちの世界です。

だから本来は社会的な信頼性は高くありません。

ですが日本人は権威に弱い人が多く、資格があるというだけで内容をよく考えずに信頼する人が多いです。

また「資格がとれれば仕事になる」と勘違いしている人もまた沢山いらっしゃいます。今では国家資格を持っていても就職に困る業界(弁護士など)があるぐらいですから、民間の怪しい資格なんて話にもならないのですけどね・・・

そういう人が多いので、ほとんどの学校は「資格をとれる」という形でアピールするわけですね。こうすると学校側としては生徒の募集だけでなくその後の卒業生とのつながりという面でもビジネス的にいろいろなメリットがあります。

例えば、資格の更新が必要といって定期的にセミナーを開いたりできます。

ただ、これは別に悪いことではありません。卒業生自身にとっても自分の手技の復習や仲間との交流というメリットがありますから、低価格でこういうことをやってくれるなら逆にありがたい場合もあります。

ここで言いたいのは「資格を取ることを目的としないでください」と言うことです。国家資格ですら厳しい世の中で整体という民間資格に強い力があると思ってはいけません。こういうマインドで整体学校に入るとあとあと「資格を取ったのにうまくいかない」なんてことになりかねません。

このサイトでこれからも何度も書きますが、整体師はあなた自身が売り物であって資格や手技はオプションのようなものです。そのマインドをしっかり持ってくださいね。

国家資格の本当のところ

国家資格で整体のような業種というと鍼灸・按摩・マッサージ・柔道整復師(接骨院)があります。このような資格を取ると保険診療が可能になるので集客に有利だと考える人が多いかもしれません。

しかし、鍼灸も接骨院も本来は医師の下請けです。医師が患者さんを診察して「この患者さんにはこういう治療をしてください」と指示された内容の施術を行う場所です。そしてそういう場合のみ健康保険が適用になります。

鍼灸師の人が自分の判断で鍼を打ったり、接骨院の人が整体のような施術をすることは健康保険の適用外になります。それを誤魔化して保険請求するのは違法です。

昔はそういうことを平気でやっていましたが、最近は取り締まりが厳しくなりそいういうことがやりにくくなってきており、自費治療の比率を増やさざると得ません。しかし、例えば柔道整復師の場合、専門学校で学ぶのは骨折や脱臼の処置であり腰痛や肩こりの対処のしかたは全く学びません。

私たちが腰痛や肩こりでいく接骨院の人は実はそういう技術を学校では学んでいないのです。ビックリですよね(笑)だから適当な場所に電気をあてたり温めたりしてお茶を濁すわけです。

そういう状況なので柔道整復師は自費治療しようにもできる技術を持っていません。そういう人が整体のセミナーに参加して技術を学んでいるというのが現実です。

一方で、整骨院などは薬事法の関係で腰痛や肩こりなどの具体的な症例を出して宣伝広告することができません。近所の接骨院の看板って院名と電話番号と営業日ぐらいしか書いていませんよね?

だから、差別化がしにくいので宣伝して集客というのが難しくなってきています。国家資格という信頼性だけでやっていく必要があるので接骨院がどんどん増えている状況では独立開業を目指すのはなかなかハードルが高いです。

雇われで接骨院や整形外科で働くなら国家資格はおおいにありですが独立開業を目指すならよく考えたほうがよいです。

違いをよく認識してどちらを目指すか考えよう

私は「資格よりも実力」という考え方の人間だったのと、何年も学校に通う余裕がなかったので国家資格に目もくれず整体の道を選びました。結果的にそれで良かったかなと思っています。

しかし、時間的に余裕があるなら国家資格を選ぶことが必ずしも悪いことでありません。国家資格をもちつつ整体の技術もあれば出来る事がとても増えますからね。

ですから、双方の違いをよく認識することと、時間的・金銭的余裕などから総合的に判断してどちらを目指すか決めると良いと思います。

ただ、私個人的には接骨院が飽和状態であったり破綻寸前の健康保険制度の現状を考えると、苦労して勉強して国家資格をとっても一昔前ほどのうまみは無いのではないかと考えています。